電子印鑑の作り方
書類を印刷して、押して、スキャンして、送る——あの往復をなくせます。 ただし電子印鑑には「できること」と「できないこと」がはっきり分かれています。 そこを先に整理してから、作り方を説明します。
先に結論:3つだけ押さえてください
| 使える場面 | 社内の稟議、見積書、請求書、受領印、回覧の確認印。体裁を整えるための押印はこれで足ります |
|---|---|
| 使えない場面 | 実印・銀行印としては使えません。不動産の登記や金融機関の手続きには使えません |
| やってはいけないこと | 他人や他社の印影を無断で再現すること。犯罪になりえます |
種類の使い分け
「電子印鑑」とひとくくりにされますが、実際には用途の違う3種類があります。 間違ったものを使うと、それだけで書類の見栄えが悪くなります。
| 丸印(認印) | 個人が確認・承認したことを示す印。苗字だけを入れるのが一般的です。 サイズは直径10.5〜12mmが標準 |
|---|---|
| 角印(社印) | 会社が発行した書類であることを示す印。請求書や見積書の社名に重ねて押します。 「株式会社○○之印」のように入れます。21〜24mm角が標準 |
| 日付印(データ印) | 部署・日付・氏名の3段構成。受領印や検収印に使います。 直径30mm前後が標準 |
請求書に個人の認印を押している例をときどき見かけますが、 本来は会社名の角印を押す場面です。取引先から見ると分かってしまうので、 ここは合わせておいたほうがよいところです。
作る手順
- 種類を選ぶ——上の表のとおり、用途で決めます
- 氏名・社名を入れる——丸印は苗字だけ。角印は「○○株式会社之印」
- サイズを決める——実寸(mm)で指定します。印刷しても違和感が出ません
- 透過PNGで保存する——背景が透明なので、書類に重ねても下の文字が隠れません
色は朱色(#c8102e前後)が標準です。黒だと印刷したときに本文と区別がつきにくくなります。
ここが重要:氏名を他社のサーバーに送っていませんか
電子印鑑を作るサイトは数多くありますが、その多くは 入力した氏名や社名をサーバーへ送信して、そちらで画像を生成しています。
氏名は個人情報そのものです。しかも印鑑を押す書類は、 契約書・請求書・稟議書といった、社外に出せないものばかり。 その一歩手前で、氏名を見知らぬ事業者に渡すのは筋が通りません。 会社によっては、それ自体が情報管理規程に触れる可能性もあります。
当サイトの電子印鑑作成ツールは、 すべてブラウザの中だけで描画しています。 入力した氏名がネットワークに出ることはありません。 ブラウザの開発者ツール(F12)の「ネットワーク」を開いたまま作成すれば、ご自身で確認できます。
作ったあと、書類に貼る方法
透過PNGとして保存したら、あとは各ソフトで画像として挿入するだけです。
| Word | [挿入]→[画像]で挿入し、[文字列の折り返し]を「前面」に。これで自由に動かせます |
|---|---|
| Excel | 同様に挿入。セルに合わせて縮小すると小さくなりすぎるので、実寸のまま重ねます |
| PDFに直接押すには編集ソフトが必要です。WordやExcelの段階で押してからPDF化するほうが簡単です |
法的な位置づけ(ここは誤解が多い部分です)
「押印があるから有効」という理解は、実は正確ではありません。 契約は原則として当事者の合意だけで成立します。 押印は、その文書を本人が作成したことを推定させる材料の一つにすぎません。
2020年に内閣府・法務省・経済産業省が連名で出した見解でも、 契約書に押印がなくても契約の効力に影響しないことが明示されています。 押印廃止の動きはここから広がりました。
逆に言えば、画像の印影に強い証拠力を期待してはいけません。 画像はコピーできてしまうからです。 「誰が」「いつ」承認したかを技術的に証明する必要がある契約では、 印影ではなく電子署名(電子署名法に基づくもの)を使ってください。
やってはいけないこと
他人や他社の印鑑を、無断で再現しないでください。 他人の印影を作る行為は私印偽造罪、 それを押した文書を作れば有印私文書偽造罪にあたる可能性があります。 「上司が不在だから代わりに押しておく」も、無断であれば同じです。
使ってよいのは、ご自身の氏名か、ご自身の会社の社名です。 代理で押す必要があるなら、社内の承認フローとして正式に決めてから行ってください。
よくある質問
篆書体(てんしょたい)で作れませんか?
当サイトは対応していません。篆書体のフォントを配布すると数MBのダウンロードが発生し、ライセンスの問題も生じるためです。明朝体でも体裁は十分に整います。
朱肉のかすれを再現したい
あえて再現していません。かすれは「本物らしさ」を演出しますが、電子印鑑は本物の印影ではありません。実物と見分けがつかないものを作るほうが、かえって問題を招きます。
会社で使ってよいか判断がつきません
社内規程を確認してください。押印のルールは会社ごとに違い、「電子印鑑可」と明記している会社もあれば、特定の書類のみ認めている会社もあります。判断に迷う場合は総務に確認するのが確実です。
印鑑登録している実印をスキャンして使ってはだめですか?
おすすめしません。実印の印影が画像として出回ると、悪用されたときに被害が大きくなります。実印は紙に押す用途に限定してください。
まとめ
- 用途に合わせて丸印・角印・日付印を使い分ける
- 実印・銀行印にはならない。体裁を整えるための押印に使う
- 氏名は個人情報。サーバーに送らないツールを選ぶ
- 他人の印鑑を無断で再現しない