ファイル変換サイトは安全か

PDFを結合したい、画像を圧縮したい——検索して出てきたサイトに、 そのままファイルを上げていませんか。 そのファイル、本当に外に出してよいものでしたか。 煽るつもりはありません。事実を整理します。

「アップロード」が何を意味するか

ファイルを選んで変換ボタンを押した瞬間に何が起きているか、意識されることは多くありません。 アップロード型のサービスでは、こうなっています。

  1. ファイルが丸ごと相手のサーバーに送られる
  2. サーバー上でファイルが開かれ、中身が処理される
  3. 変換結果がサーバー上に作られる
  4. あなたがダウンロードする
  5. 一定時間後に削除される(と説明されている)

つまり1〜5の間、あなたのファイルは他社のサーバーに存在しています。 これ自体は技術的に必要なことで、悪意があるという話ではありません。 問題は、そのファイルが外に出してよいものだったかです。

よくある誤解:HTTPSなら安全?

「鍵マークがついているから安全」と考えられがちですが、 HTTPSが守っているのは通信経路だけです。

経路上での盗み見は防げます。しかし届いた先のサーバーでは、 ファイルは復号されて普通に扱われます。 でなければ変換処理ができません。 「途中で盗まれないこと」と「預けた先で安全なこと」は、まったく別の話です。

利用規約を一度読んでみてください

多くの変換サイトの利用規約には、次のような条項があります。 悪質だという話ではなく、サービスを運営する以上ある程度必要な記載です。 ただし、読んだ上で判断する価値はあります。

削除までの時間 「アップロードから○時間後に自動削除」。その間は存在します。 バックアップやログに残る可能性もあります
サービス改善のための利用 品質向上のためにデータを利用する旨の記載。範囲は規約によります
第三者への委託 処理基盤に外部のクラウドを使う旨の記載。関わる会社が増えます
免責 「万一の漏えいについて責任を負わない」。何かあっても救済されません

そして最も大事な点。削除の約束は、運営者を信頼することが前提です。 利用者側から検証する手段はありません。

会社の規程に触れていませんか

個人的な写真であれば、判断はご自身の裁量です。 しかし仕事のファイルとなると話が変わります。

多くの企業の情報管理規程には、 「業務上のデータを許可なく外部サービスへ送信してはならない」 という趣旨の条項があります。無料の変換サイトへのアップロードは、 これに該当する可能性があります。

とくに注意が必要なファイル
  • 顧客の氏名・住所・連絡先が載っているもの(個人情報保護法の対象)
  • 見積書・契約書・請求書(取引先の情報が入っています)
  • 人事・給与に関するもの
  • 未公開の企画書、技術資料
  • 医療・法務など、守秘義務が明確にある分野の書類

「ちょっとPDFを結合したいだけ」でも、そのPDFの中身が上のいずれかなら、 一度立ち止まる価値があります。

では、どうすればよいか

現実的な選択肢は3つです。

1. 手元のソフトで処理する 最も確実。Acrobatや画像編集ソフトを持っているなら、それが一番です。 ただし有料で、導入に承認が要ることもあります
2. 会社が契約したサービスを使う すでに契約があるなら、そちらを使うのが筋です。 契約に守秘条項が含まれているためです
3. ブラウザ内で完結するツールを使う ファイルが端末から出ません。無料で、導入も不要。 この記事を載せている当サイトがこの方式です

ブラウザ内処理とは何か

近年のブラウザは、かつてサーバーでしかできなかった処理を ブラウザの中だけで実行できるようになりました。 PDFの結合も、画像の圧縮も、動画の変換すら、送信せずに行えます。

仕組みはこうです。ページを開いたときに処理プログラムがあなたの端末に届き、 そのプログラムがあなたのパソコンの中でファイルを処理します。 ファイルは移動しません。動くのはプログラムのほうです。

副次的な利点もあります。容量の上限がなく、アップロードの待ち時間もありません。 サーバーの費用がかからないので、無料で提供しやすいという事情もあります。

自分で確認する方法

ここが肝心なところです。「送信していません」という言葉を信じる必要はありません。 ご自身で確認できます。

  1. ツールのページを開く
  2. F12キーを押して開発者ツールを開く
  3. 「ネットワーク」タブを選ぶ
  4. その状態でファイルを読み込ませ、処理を実行する
  5. 通信の一覧を見る

ファイルが送信されていれば、ファイルサイズに見合った大きな通信POSTとして現れます。何も出なければ、送信されていません。

当サイトのツールで試していただければ、処理中に新しい通信が発生しないことが見えます。 詳しくは安全性についてにも書いています。

公平のために書いておくこと

アップロード型のサービスが常に悪いわけではありません。 ブラウザ内処理にも弱点があります。

要は使い分けです。公開資料や自分の写真ならアップロード型でも困りません。 他人に見せられないファイルのときだけ、送らない方法を選ぶ。 それだけで、リスクの大半は避けられます。

まとめ

この記事で使うツール